ウェディング・プランナー』

改めてこの映画を今見ても、そしてこの先いつ見てもそんなに楽しめないのでは? と思います. というのもこの映画、完全に終始予定調和でしか進まない作品なんですもん. ウェディング・プランナーの女性がクライアントの花婿に恋をして仕事との狭間で悩み、そして周囲の助けもあって最後は幸せを掴むという、これまでにイヤになるほど何度も見てきた展開ですから. サプライズなんて全くない映画ですよ. でもそんなことを言いながら実は私、この映画を結構楽しめた一人なんですよね. だってこの映画が公開された当時、主演のジェニファー・ロペスといえば「褐色の女神」と言われ、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界屈指のええオンナだったんですもん. 恐らく私と同じように映画館でジェニファー・ロペスの魅力に圧倒され幸せを堪能した男性諸君は数多いことだと思います. まぁそんな訳ですから、今や勢いが完全になくなってしまったジェニロペの映画を今頃見たってストーリーに全く新鮮味がない分、普通の映画としか感じないんですよ. ではなぜジェニファー・ロペスに勢いがなくなってしまったのか? ですが、それは単に彼女の性格の悪さが原因だと言われています. 振り返ってみれば、彼女の勢いが衰え始めた頃ってちょうどベン・アフレックと婚約をした時期だったんですよ. 『チーム☆アメリカ-ワールドポリス-』 をご覧になられた方なら、あのベン・アフレックかぁ~と思われるかも知れませんが、実はある意味彼こそが一番の被害者だったんのです. というのもアメリカでは結婚する前に離婚する場合の取り決めをする習慣がありますが、このジェニロペとベン・アフレックの婚前離婚協定の内容って物凄く酷かったらしいのです. 細かい内容までは覚えていませんが、確かベン・アフレックはジェニロペと結婚すると向こう数十年は離婚できず、その後離婚できたとしても彼の財産の半分はジェニロペのものとなる. しかも夫婦共有の財産も彼女のものとなるということ. 結局どこぞの「別に・・・」女優よりも絶対的な女王っぷりを発揮したジェニロペも最後はベン・アフレックに捨てられてしまい、その後この婚前離婚協定が世間に漏れ伝わったこともあってか映画の第一線からも退いてしまったそうなんです. ですから「褐色の女神」が「褐色の悪魔」に降格してしまった女優の映画なんて、今頃改めて見ても楽しめないような気はしますよ. 深夜らじお@の映画館 はこんな婚前契約をするくらいなら一生結婚しません. エルネスト・チェ・ゲバラ. 医師であり、革命家であり、軍人であり、善き師であり、そして愛の伝道者でもある男. そしてこの作品はそんな偉大な一人の男を描いた崇高な映画であるように思えるほど、素晴らしいものでした. 正直チェ・ゲバラについて勉強しておくか、もしくは 『モーターサイクル・ダイアリーズ』 を見てからでないと難しく感じる映画だとは思いますが、今の時代だからこそ見ておくべき映画ではないでしょうか. フィデル・カストロと出会い、バティスタ政権を打倒してキューバを解放するまでを描いたこの『チェ』2部作の前編. キューバでの革命活動のシーンはカラーで、アメリカでの取材や国連での演説シーンを白黒で描く手法が凄く印象的で、これが後編の『39歳別れの手紙』でどのように作用するのかが非常に楽しみです. 映画的にはこのキューバでの銃による戦いのシーンとアメリカや国連での言葉による戦いのシーンを交互に描くので、分かりにくいという反応もたくさんあったみたいですが、個人的には徐々にチェ・ゲバラの内面に入り込んでいくようなこの描き方がとてもスティーブン・ソダバーグらしい「映画的見せ方」のように思えました. 特にオープニング直後の敵の兵舎を襲撃するシーンを途中からアメリカでのインタビュー音声だけを入れて銃声を消してしまう見せ方は素晴らしいです. あのシーンで、チェ・ゲバラという革命家は決して武力だけに頼る革命家ではない. むしろ革命の大部分を武力という選択肢に頼らざるを得なかった哀しき革命家に見えてくるんですよね. ですからその後描かれるチェ・ゲバラの行動一つ一つも自然と崇高に見えてくるんです. 特に彼の部下や農民たちへの対応は人間としては見習うべきものばかり. フィデル・カストロが政治家のように状況を見てリーダーとして君臨しているのに対して、チェ・ゲバラは部下や農民など一人一人に気を掛けて、周りから兄貴分として慕われている優しきリーダー. しかも彼はどんな状況でも感情的に怒ることは一切せず、信賞必罰のもと敵味方関係なく、情けを掛けるところと厳しくするところを完全に分けているところが人として凄いとしか言い様がありません. 自身も喘息で体力的にも精神的にも楽でないはずなのに、しかも革命のためとはいえ自分の祖国でもないキューバで「祖国か! 死か! 」と叫んでは司令官でありながら最前線で危険と隣り合わせで戦っているのに、また戦闘だけでなく農民たちの医師として働きながら若き兵士に読み書きを教えている多忙な日々を送っているにも関わらず、ああいう行動が出来るのは本当に人として素晴らしいですし、彼こそまさに崇高な人物そのものだと思います. この映画のラストでの部下に盗難車を返すように説教するシーンも、まさにチェ・ゲバラという一人の人間を語るに相応しいエピソードだったと思います. 人情もないような今の時代だからこそ、チェ・ゲバラのような人物を必要としてしまうのなら、本当の意味での革命は中南米だけでなく日本やアメリカでも必要ではないのか. そんな哀しき疑問を抱かざるを得なくなるほど、崇高に思える映画でした. 深夜らじお@の映画館 も人として革命すべきかも知れません.